院内ブログ

歯石除去 (スケーリング) の必要性について

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ご家庭の愛犬、愛猫の口が臭い…なんだか歯が汚い…そんなお悩みをお持ちの飼い主様は多くいらっしゃいます。綺麗にした方がいいのか?そのままで良いのか?悩まれている方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。実は歯石の蓄積は口内の問題に留まらず、さまざまな健康障害を引き起こします⚡今回は当院で行っている歯石除去処置や、その必要性についてご紹介させていただきたいと思います😊

歯石の問題性
歯石とは食べかすなどの歯の汚れ(歯垢)が蓄積により石灰化したもので、歯みがきでは取れません。歯石には多くの細菌が住み着いており、歯肉炎を引き起こします💦歯肉炎が悪化すると歯周病に進行し、根尖膿瘍(根尖膿瘍の詳細記事はこちら:https://www.yotsuba-ac.com/739/)や痛みによる食欲低下につながります。また歯石中の細菌の影響により心筋炎や腎炎を引き起こすという報告もあり、全身的な健康問題にも発展する可能性があります。

【参考】
実際に重度の歯周病から根尖膿瘍となり、頬に穴があいたケース
歯石除去(スケーリング)と傷口の洗浄、縫合(赤丸部分)を行いました

歯肉炎の症状
実際に歯肉炎にかかっているとどのような症状がみられるのでしょうか。お口の中をなかなか見せてくれない子は多いので、以下のような症状がないかを参考にしてみてください👌

🐾口臭がある
🐾ギリギリと歯ぎしりをする(特に猫)
🐾以前よりも固いものを食べたがらなくなったり、片側だけで咀嚼したりする
🐾よだれが増える
🐾目に見えて歯肉が赤い

これらの様子が見られたら要注意です😰
歯肉炎は前述のように重症化すると様々な問題を引き起こすため、早めの対応が肝心です✨
1つでも当てはまる場合や、お家でなかなか判断がつかない場合はお気軽にご相談ください🍀

治療の流れ
スケーリングには全身麻酔が必要となるため、術前に血液検査を行い全身的な健康状態を確認します。
歯石の蓄積や歯周病が見られる子はシニア(7歳以上)に多いため、検査項目を増やしたり胸部レントゲンを撮影したりして、より詳しく検査をする場合もあります。
処置は麻酔後、スケーラーと呼ばれる特殊な超音波器具で歯石を破砕しながら綺麗にしていきます。最後にポリッシングといって歯の表面を滑らかにする処置を加え、終了です。処置は汚れの付着具合にもよりますが、およそ30~40分で終了します。
歯根が痛んでいたり、大きく動揺(ぐらつき)があったりする歯は抜歯をすることもあります。
その場合は歯肉の縫合などが必要なこともあるため、処置時間が少し長めにかかります。

実際の処置症例
今回デンタルキャンペーン(https://www.yotsuba-ac.com/news/1030/)を利用し歯石除去を行った症例をご紹介します👀🔍
患者さんは5歳のMIX犬(チワワ×ポメ)、去勢済みの男の子です。
歯の汚れが気になってきたとのことで、スケーリングを行うことになりました。

【before】
黄色い歯石が全体的に付着しています。
【after】
歯石がなくなり綺麗な白い歯になりました!

今回はひどい歯肉炎や歯のぐらつきが出る前の、比較的軽度な段階で処置を行うことができました👍✨このように歯茎の赤みや腫れが出てくる前に歯石除去を行うことで、重度の歯肉炎を予防することができ、処置自体も短時間で終わるため動物の負担も少なく済みます🙌💕
また5歳という、比較的麻酔リスクの低い年齢で処置ができたことも素晴らしいです😊高齢化し麻酔リスクが高くなったり、歯肉炎が重症化したりする前の若くて健康なうちに予防的な歯石除去を行うことが大切です🍀

予防の重要性
歯周疾患は日頃のご家庭でのデンタルケアと、病院で行う専門的なケア(スケーリング)とを組み合わせて予防していくことが重要です👍ご自宅での歯みがきやケア方法に不安のある方は、やり方やおすすめの方法などをご紹介させていただくのでお気軽にご相談ください😊ただいま、無料歯科検診も実施中です🙌(2025年3月まで)

参考
Relation between periodontal disease and systemic diseases in dogs 
Research in Veterinary Science Volume 125, August 2019, Pages 136-140