院内ブログ

【コラム】糖尿病にご用心|気を付けたい症状と合併症とは

人間の世界でも生活習慣病の1つとして気をつけたい糖尿病👀犬や猫でも多く見られる疾患です💦
肥満や食生活の乱れが原因で発症すると思われがちですが、太っていない子でも発症することがあるので要注意です。この病気はいかに早く気が付き、血糖値を理想的な値にコントロールするかがとても重要です。そしてコントロールがうまくいかなかったり、なにかの基礎疾患があったりすると深刻な合併症を引き起こします。今回は糖尿病と、その合併症についてお話ししたいと思います🍀

糖尿病とは
糖尿病は高血糖状態が慢性的に続くことにより、様々な機能障害を引き起こす病気です。この疾患には「インスリン」という血液中の糖(グルコース)を細胞内に取り込むためのホルモンが深く関わっています。体内でのインスリンの状態により、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病に分けられます。

【Ⅰ型糖尿病】
インスリンが分泌されていない、もしくは分泌が少ない状態です。インスリンの絶対数が少ないため、高血糖状態になってしまいます。犬で多く、猫では稀です。インスリンが分泌されないため、生涯にわたるインスリンの投与が必要です。
原因・・・膵臓(インスリンを出す臓器)の異常、自己免疫疾患、特発性(原因不明)など

【Ⅱ型糖尿病】
インスリンは分泌されているが、体内での「効き」が悪くなっている状態です。特に猫に多く見られます。初期治療にインスリンは欠かせませんが、治療をすればインスリン注射が必要ない状態になる(寛解)こともあります。
原因・・・肥満、慢性膵炎、他の内分泌疾患との併発、ストレスなど

インスリン作用のイメージ:インスリンはグルコースが細胞に入るための鍵のような役割です。

症状
糖尿病の子に見られる代表的な症状をご紹介します。
ご家庭の子に当てはまるものがないか確認してみてください🐱

🐾よく水を飲む
🐾おしっこが増える
🐾食べているのに痩せてくる
🐾蹠行姿勢(後ろ足のかかとをつけて歩く)・・・特に猫で見られます

上記の症状は糖尿病に限らず、腎臓病やホルモン疾患でも見られます。
1つでも当てはまるものがあれば、早めに病院へ相談することを心がけましょう😊🍀

深刻な合併症
さて、糖尿病は血糖値のコントロールがうまくいっていれば症状も落ち着き、長生きすることも可能な病気です。
しかし高血糖状態が続いてしまうと、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という重篤な状態に陥ってしまいます⚡
細胞の本来のエネルギーは糖ですが、インスリンが正常に働けないと細胞に糖を取り込めず、エネルギー不足になってしまいます。そこで糖ではなく脂肪をエネルギーとして使うようになります💦このとき脂肪を代謝する過程でケトン体という物質が産生され、血液を酸性化してしまいます😥この状態をケトアシドーシスといい、命に関わる状態になります😰

糖尿病性ケトアシドーシスの症状
🐾重度の脱水(眼が凹んで見える、皮膚をつまんだあと元に戻るまで時間がかかる)
🐾食欲廃絶
🐾ぐったりと横たわり、動かない
🐾嘔吐
🐾独特の口臭(アセトン臭と呼ばれ、除光液のようなにおいがします)

もともと糖尿病を患っている子がこのような症状を呈した場合、糖尿病性ケトアシドーシスの可能性が非常に高いです⚠️⚠️⚠️すぐに病院へ連絡し、受診するようにしてください💦
また糖尿の子に限らず、重度の脱水や脱力、食欲の廃絶は緊急性の高い症状です。様子を見ずに必ず診察を受けましょう😥

※当院は予約診察が優先ですが、当日受付や予約無しでの診察も可能です。
緊急性が高い場合は優先的に治療を行いますので、心配な症状があるときはお電話ください。

糖尿病性ケトアシドーシスの治療法
ケトアシドーシスになってしまった子は重度の脱水と電解質異常(血中のミネラルバランスが崩れている)を起こしているため、まずは入院点滴をして状態を改善しなければなりません。
しばらくは点滴し、脱水と電解質バランスが改善したらインスリン療法を開始して血糖値のコントロールを図ります。
しかしこのときに血糖値が急に下がりすぎると別の問題が起きるため、定期的に採血し、慎重なモニタリングをしながらインスリンを投与していく必要があります。このように、入院下で点滴しながら検査を繰り返し、徐々に状態の改善を目指していく形になります。多くの場合で数日間以上の入院が必要となります。
ケトアシドーシスの治療はいかに早く治療を開始するかが非常に重要なポイントであり、緊急疾患です😫上記のような症状(ぐったりしている、全く食べない)が動物に見られたら、すぐに病院へ連絡することが肝心です😥💦

まとめ
今回は糖尿病と、その合併症についてお話ししました。
糖尿病はケトアシドーシス以外にも高血糖性高浸透圧症候群(HHS)や末梢神経障害、白内障など様々な病気につながる疾患です⚠️
日頃から愛犬愛猫の様子をよく観察し、異変があれば早めの受診を習慣づけましょう💕
また、定期的な健康診断も病気の早期発見に有効です✨
わからないことや不安なことがある場合は、ご来院の際やお電話でお気軽にご相談ください😊