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【コラム】猫の肥大型心筋症について|末期まで症状が出にくい病気

昨今の医療の発展やフードの改良により、長生きできる猫ちゃんが増えています。それはとても喜ばしいことですが、長生きに伴って加齢性の疾患にかかる子が増えています。特に問題となることが多いのが心筋症で、猫では肥大型心筋症がよくみられます。この疾患の厄介なところは初期症状がわかりにくく、定期的に検査をしていないと発見できないところです。当院でもこの病気の患者さんが増えてきており、早期発見・早期治療を呼びかけています😣💦そこで今回は肥大型心筋症について詳しく解説したいと思いますので、みなさん是非ご一読ください😺🙌

肥大型心筋症とは
肥大型心筋症は猫でよく見られる心疾患の1つです。
罹患すると心臓の筋肉(心筋)が肥厚し、心臓の容積が減ってしまいます。心臓に入れることができる血液の量が減るため、心臓から送り出せる血液の量も減り、循環不全を引き起こします。
メイン・クーンやラグドール、アメリカン・ショートヘアーが好発種といわれてはいますが、他の種類やMIX猫でも多く発生する疾患です。特に7才以上の中高齢以上の猫では注意が必要です⚡⚡

こちらが正常な心臓です。
心臓の収縮により、左下のお部屋(左心室)から全身に血液が送り出されます。

こちらが肥大型心筋症の心臓です。
4つのお部屋を分け隔てている心筋が厚くなり、左心室が狭くなっています。
このため全身に送ることができる血液量が減少します。

症状
肥大型心筋症は初期症状がほとんどないことが特徴です。
犬に多い拡張型心筋症や僧帽弁閉鎖不全症では、聴診で心雑音が聞こえたり咳が増えたりしますが
肥大型心筋症ではこれらの症状がほとんど見られません。
しかし症状が進行すると、肺水腫や胸水の貯留を起こしある日突然呼吸困難となります😰💦
また心臓内で血液が停滞することにより血栓ができやすくなり、それが細い血管に詰まることがあります。
1番詰まりやすいのが後ろ足の血管で、ある日いきなり後ろ足が麻痺したり、立てなくなったりします。

診断方法
肥大型心筋症の診断に最も有用なのはエコー検査です✨
エコーでは心臓の筋肉の厚さや収縮の程度、血液の逆流の有無など
心臓の機能を細かく調べることが可能です😊
基本的鎮静や麻酔が不要で痛みもないため、猫ちゃんにとってとても優しい検査です🍀🍀

また、血液中のNT-proBNPという値を計測すると、どれくらい心室に負担がかかっているかが分かり
心筋症の指標になると言われています。
心臓病の確認や健康診断にはエコー検査がベストですが、どうしても血液検査のみで完結させたいという方にはオプションでNT-proBNPを計測することをおすすめします👍✨

治療方法
肥大型心筋症の治療方法は、病気の進行度によって大きく異なります。
また肥大型心筋症自体を完治させることはできず、徐々に進行していってしまう病気です。
そのため治療の目的は、進行の速さをできるだけ遅らせること・症状が極力出ないようにして猫ちゃんがつらくない状態にすることです。
治療は飲み薬がメインで、心臓の負担を軽くするための血管拡張薬や交感神経遮断薬を用います。
そのほかに血栓形成の予防薬や、利尿薬を併用することもあります。
定期的に診察を行い心筋症の進行度を適切に判断して、症状に合わせた薬を服用することが大切です。

飼い主様に気を付けていただきたいこと
前述したように肥大型心筋症は目立った症状がなく、様子がおかしいと思った時にはすでに末期状態になっていることも少なくありません。
そのため症状がないうちからの健康診断が非常に重要になります🙌🙌
エコー検査はハードルが高いように思われる方もいらっしゃいますが、動物への負担や侵襲が少ない検査となっているので、是非お気軽にお問い合わせください😺💕
若いうちは年に1回、7才以降の中高齢以降では半年に1回の健康診断をおすすめします😊

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まとめ
肥大型心筋症は初期症状がわかりにくく、気がついたときには肺に水がたまり呼吸困難となったり、後ろ足が立たなくなったりと猫ちゃんがとても苦しい状態になってしまうことも多い疾患です。
飼い主様には日ごろから少しの様子の変化でも動物病院に相談していただくよう心掛けていただき、
エコー検査を含めた定期的な健康診断を受診するようお願いいたします😊🍀