こんにちは!よつばアニマルクリニックです。
当院で行うことのできる治療や、犬猫の病気についてご紹介するためのブログを始めました。
様々な医療情報をご提供し、治療の選択肢を広げるお手伝いができればと考えているので、是非目を通してみてください
さてみなさん、犬や猫も人と同じように輸血が可能であることをご存じですか?
もちろん、動物たちにも血液型が存在するため、輸血を行う際には様々な検査を行ってから実施します。
今回は輸血と腫瘍の切除を行った猫ちゃんの症例をご紹介します
腫瘍や血液の写真があるので、苦手な方はご注意ください。
患者さんはアメリカンショートヘアの16才男の子です。
数ヶ月前にできた腰のデキモノがみるみるうちに大きくなり、そこから出血し続けるため重度の貧血を起こしていました。
腫瘍切除には全身麻酔が必要ですが、そのためにはまず貧血の改善が必要なため、輸血を行いました。
輸血には、血液型の適合とクロスマッチ試験での適合が必要です。
血液型はこちらの試験紙を使い、患者さんとドナーの血液型が合っていることを確認します。
こちらは別の子の血液ですが、このような結果の場合、猫ちゃんの血液型はB型となります。
またクロスマッチ試験は患者さんとドナーの血液をいくつかのパターンで反応させ、拒絶反応がないことを確認する試験です。
今回、無事患者さんとドナーの血液が適合したため、輸血を行うことができました
輸血中の猫ちゃんの様子
とても落ち着いています輸血の際は急激な発熱やアレルギー症状、溶血、急性肺障害など様々な副反応を起こす危険性があります
そのため輸血の速度や量、かける時間などを動物の状態を見ながら慎重に決定していき、急変した場合はすぐに対応できるよう準備をして実施します
今回の輸血により患者さんの貧血は大幅に改善し、元気もでてきたため、腫瘍切除の手術に踏み切りました。
腫瘍はかなり大きく、太い血管も走っていたため
電気メスを使用したり、血管を一つ一つ結紮したりして出血を最小限に留めながらすすめていきます。
また高齢のため、麻酔薬や鎮痛薬を慎重に選択し、常にバイタルサインをモニタリングしながら手術します。
今回患者さんの麻酔の状態はとても安定しており、麻酔からの覚めもスムーズでした!
術後には美味しそうにちゅ~るをなめる姿もみられました
とてもよく頑張ってくれて、スタッフも一安心です。手術から5日後に傷口のチェックを行いました
とても大きな腫瘍を切除しましたが、
皮膚への負担が少ない方法で縫合しているため、傷口はとても綺麗です。
血液検査の結果、貧血はまだ少し残っていましたが
腫瘍があった頃に比べると格段に改善していました
これから猫ちゃんの体の中で頑張って血液が作られていけば、さらなる改善が見込めると考えています。
今回は猫ちゃんの輸血と腫瘍切除についてご紹介しました
よつばアニマルクリニックでは、犬・猫での輸血療法にご対応可能です。
(供血動物は飼育していないため、ドナーはその都度探す必要があります。)
また乳腺腫瘍や脾臓腫瘍など各腫瘍摘出術にもご対応し、必要な場合には高度医療機関へのご紹介も行っております。
大切なわんちゃん・ねこちゃんのご病気でお困りの方は是非一度ご相談ください