ワンちゃんを飼育されている皆さんは、フィラリア予防、もう始めましたか?
「毎年検査してるけど陰性だし・・・」
「ほとんどお家にいるし・・・」
などと考える飼い主様もおり、そのお気持ちも分かります。
ワンちゃんを病院に連れてきて、薬をもらって・・・なかなか大変なことですよね。
しかし予防を怠ると実際にフィラリアに感染してしまうことが多くあります💦
フィラリアは蚊に刺されることで感染する寄生虫ですが、犬の血中を巡りながら成長し、
最終的に肺動脈や心臓に寄生します。
そのため咳や努力性呼吸(ハァハァする)、腹水の貯留、元気食欲の低下などが症状として現れます。
今回はフィラリア症に感染したワンちゃんの症例をご紹介します。
患者さんは8才♂の雑種犬です🐶
食欲低下・腹部膨満・発咳を主訴に来院されました。
患者さんは来院時、お腹がパンパンで息も苦しそうな状態でした。
屋外飼育でフィラリアの予防歴がなかったため、フィラリア症を疑い検査をしたところ…
やはり陽性でした😥
線が1本出ていると陰性、2本出ていると陽性です。
まずは呼吸困難の原因となっている腹水を抜去することになりました。
腹水はエコーでお腹の様子を確認しながら針を刺し、抜去します。
お腹から大量の腹水が抜けていきます。
最終的に1880mlもの腹水を抜去しました💉
腹水を抜いた後のワンちゃんは呼吸が楽そうになり、食欲もでたそうですが
根本的なフィラリア症の治療を行わないと、いずれまた腹水が溜まってきます。
フィラリア症の根本的で確実な治療法は、手術で心臓からフィラリアの虫体を取り出すことです。
しかしほとんどのワンちゃんはフィラリア感染により肺や心臓の循環障害を起こしていることが多く、
手術にはかなりのリスクを伴います⚠️⚠️
そのため、ショック予防の薬や心臓の薬を併用しながら、フィラリアの子虫を駆除する薬を毎月飲み続けます。
心臓にいる親虫が生み続ける子虫を殺し続けることで、これ以上体内にフィラリアの親虫が増えないようにし、すでに感染してしまっている親虫の寿命(=死亡)を待つ、というやり方です。
この方法は非常に長期戦(数か月~数年)となり、フィラリア殺滅の前にワンちゃんの体力が限界に来てしまうこともあります。また長期となることで治療費用も多くかかります。
そのため、フィラリア症は事前に予防することがとても大切な疾患です⚡⚡
また一昔前まで予防薬の投与期間は4月~12月(または翌1月)がスタンダードでしたが
昨今の温暖化や、冬でも温暖な環境の増加(建物内など)により、通年予防が推奨されています✨
蚊は植木鉢程度の小さな環境でも生育でき、14℃以上あれば蚊の体内でフィラリアが成長できるといわれています。そのため冬でもフィラリアに感染する可能性は十分あるのです😫
まだ予防を始めていない方はもちろん、冬には予防を辞めてしまっていた方々も是非
今年から通年予防を開始して、フィラリア感染のリスクを限りなくゼロにしていきましょう😊
今回はフィラリア症についてご紹介しました。
フィラリア症はしっかりと予防を行えば防げる疾患ですが、一度かかってしまうと治療に時間がかかり、命の危険も伴います。
投薬が大変な方は様々なタイプのお薬をご用意しているので、お気軽にご相談ください🍀
まだ予防を始めていない方はお早めに当院へお越しいただき、予防を始めましょう😊