みなさんこんにちは
今回は、脾臓に〝肥満細胞腫”という腫瘍ができたため、脾臓を全摘出した症例をご紹介します
【脾臓ってどんな臓器?】
脾臓は腎臓や肺と違い、体に1つしかありません。
そのため「摘出して大丈夫なの!?」と心配されるる飼い主さんが多いかと思います。
結論から言って、摘出しても問題はありません。
脾臓には血液を作って貯める
古くなった血球を処理する
免疫機能(免疫細胞を作ったり、細菌を除去したりする)
などの働きがありますが、いずれも他の臓器が代償できるものです
そのため、脾臓は全摘出しても日常生活に問題はないと言われています。
【肥満細胞腫ってなに?】
肥満細胞は体中の血管周囲に分布する免疫系の細胞です。
細胞内にヒスタミンという物質を含み、アレルギー反応や炎症反応に深く関わっています。
この細胞が腫瘍化したものが「肥満細胞腫」です。
肥満細胞腫には皮膚型と内蔵型があります。
皮膚表面にできもののようにできるのが皮膚型で、消化管や脾臓などにできるのが内蔵型です。
猫の内蔵型肥満細胞腫は脾臓に発生することが多く、
猫の脾臓疾患の上位を占めています
【今回の症例】
患者さんは9歳のMIX猫です
元気がないとの主訴で来院されました。
診察室ではぐったりしており、明らかな様子の異変を感じました
血液検査では貧血の進行や腎臓・肝臓の数値が上昇していることが確認されました。
お腹のエコー検査をすると、脾臓が腫大していることが分かりました。

また末梢血(採血でとれた血液)を顕微鏡で観察すると、
血液中に肥満細胞が出ていることが分かりました。
この時点で、脾臓の肥満細胞腫とほぼ診断が確定です。
さて、脾臓の腫瘍の恐ろしいところは
自壊したり破裂したりした腫瘍から大量に出血することです
患者さんは貧血がみられ、元気もないことから
すでに腫瘍から出血している可能性が高い状況でした。
非常に緊急性が高く、命に直結する事態のため
飼い主様と相談し、脾臓の全摘出を行うことになりました。
手術の画像があるのでご注意ください。
開腹すると、お腹の中には血液が溜まっており、やはり腫瘍からの出血がありました。

脾臓を取り出すと、表面がゴツゴツし、色調も異常で肥大化した状態でした。
正常な脾臓はきれいな赤色でツルっとしています。

脾臓は付近に太い血管が走っており、膵臓も近いため
電気メスを用いて慎重に体から離していきます。
この後無事に脾臓を摘出し、閉腹することができました
患者さんは数日の入院後退院し、体調よく過ごしているようです
飼い主様が異変にすぐ気が付き、早急に病院へ来てくださったので最悪の事態を免れました
しかし肥満細胞腫は転移率が高く、肝臓やリンパ節にも腫瘍細胞が波及していることが多いです。
そのため今後も注意深く経過を観察し、場合によっては抗がん剤の使用や分子標的薬(腫瘍細胞をターゲットとした飲み薬)の使用を検討していく必要があります。
脾臓の腫瘍はこのように腹腔内出血を起こすまで特に症状を示さないことが多く、
血液検査でも異常値が現れにくいことが特徴です。
気が付いた時にはお腹の中で大出血を起こし、手遅れに・・・ということも少なくありません
脾臓腫瘍の破裂は緊急性が高く、できるかぎり早く治療を施す必要があります。
事前に腫瘍の存在に気が付くためには、定期的なエコー検査が重要です
よつばアニマルクリニックでは現在、エコー検査を含めた総合的健康診断をお得に受診できるキャンペーンを行っておりますので是非ご検討ください
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また、動物の状態がいつもと違うと感じたときはできるだけ早く獣医師の診察を受けるように心がけましょう
どんな病気も、早期発見と早めの対応が治療の予後に大きく影響します
特に、食欲がいつもの半分以下の状態が丸1日以上続いている
ぐったりしている、動かない
呼びかけに応じない
などの症状は緊急性が高い可能性があるので、すぐに病院へご連絡ください
これから冷え込み、人間も動物も体調を崩しやすくなります。
日頃の様子をよく気にかけながら、しっかりと健康管理を行ってあげましょう